JA大分中央会について

ごあいさつ

新年ご挨拶

壁村会長

JA大分中央会
代表理事会長 壁村 雄吉

 明けましておめでとうございます。令和5年の年頭にあたり一言ごあいさつ申し上げます。

 令和4年を振り返りますと、まず一つ目に、ウクライナ情勢や円安などの影響による生産資材や燃料価格の高騰・高止まりがあげられます。7月には国が、肥料価格高騰による農業経営への影響緩和のため、化学肥料の低減に向けて取り組む農業者の肥料費を支援する「肥料価格高騰対策事業」を閣議決定しましたが、生産現場では営農継続が危ぶまれるほどの甚大な影響を受けた1年でありました。農業者の営農継続・経営安定が図られるよう、万全な価格高騰影響緩和対策の措置を進めるとともに、肥料コストの低減に向けた下水汚泥や堆肥など代替品の活用促進さらには低減技術の普及推進の取組みについて、引き続き、国や県に対し要請していきたいと考えております。

 二つ目は、生産資材価格の高騰が継続していることに加え、農業者・担い手の減少など生産基盤の弱体化や食料・資源の多くを海外に依存していること等により、食料安定供給にかかるリスクが現実のものになりつつあるということです。日本の食料自給率(カロリーベース)は先進国の中でも最低水準の38%で、自分たちで消費する食料の6割以上を海外からの輸入に頼っているという状況のなか、日本の国内で食料を生産する大切さについて、意識が高まっています。JAグループでは、「国民が必要とし消費する食料は、できるだけその国で生産する」という「国消国産」の考え方を広め、国産農畜産物の消費を通じて日本の農業を応援してくれる人を増やす取り組みを進めています。また、農畜産物価格が低迷しておりますが、農畜産物の価格は需給バランスで決まるため、生産資材等の価格が高騰する中でも生産者はコスト増を農畜産物価格に適切に転嫁できていない現状があります。食料安全保障に欠かせない持続可能な農業生産のためには、農家が再生産できる適切な価格形成の実現が不可欠です。日本(大分)の農業を守るため、適正な価格形成に向けあらゆる機会を通じて理解醸成に努めていくとともに、再生産に配慮された適切な価格形成の実現に向けた仕組みの構築を政策提案していきます。また、価格を支えるのは消費です。国産(県産)農畜産物を食べることで、日本(大分)の農業を応援していただけるよう積極的にPRしていきます。

 三つ目は、「農業システム再生に向けた行動宣言」についてです。少子高齢化や後継者不足による農業就業人口の減少、担い手・労働力不足による生産基盤の脆弱化など依然として厳しい状況が続く中、2021年10月に発出した当該行動宣言のもと、行政と連携し農業関係者が一体となって改革に取り組んでいる最中であります。行動宣言には、営農指導体制の強化、ねぎ・ピーマン・高糖度かんしょ・ベリーツの県域での振興及び出荷体制整備、耕畜連携体制整備、担い手の育成等を盛り込んでおり、これらの「農業者の所得増大・農業生産の拡大」等に繋がる取り組みを着実に実践していくことで、本年は農業振興が伸び行く年となるよう、引き続き、予算措置や施策の支援等を要請していきます。

 四つ目は、毎年のように悩まされる自然災害の発生です。昨年も9月の台風14号などにより、農作物や農業施設への被害が多く発生しました。農業は天候・自然災害に大きく左右される産業であり、自然を相手にする農業の難しさを改めて痛感しております。災害対策については、行政の指導のもと、現状復旧に留まらず、改良復旧などにより災害に強い産地づくりを行っていく必要があります。

 一方で、県内での嬉しいニュースもございました。

 昨年10月の第12回全国和牛能力共進会(鹿児島全共)の種牛の部第2区・若雌の1で後藤克寿さん(竹田市荻町)の出品牛「さだの5」が農林水産大臣賞(1位)に輝きました。私自身も繁殖農家でありますが、受賞までには相当なご努力があったことと存じます。衷心よりお祝い申し上げます。

 その他、令和4年度より本格的に栽培が始まった新品種米「なつほのか」が初出荷を迎えました。「ヒノヒカリ」と比べ、多収量で粒が大きく、ほのかな香りと優しい甘みが特徴です。温暖化が進む中、高温により白く濁ったお米(白未熟粒)の増加が問題となっておりますが、「なつほのか」では白未熟粒の発生が少なく、炊きあがりが美しくなるということで、今後も作付面積を拡大し、消費定着を目指してまいります。

 令和5年度は第31回JA大分県大会決議に基づく中期計画の2年目の取組みとなります。県内農業者が希望をもって生産に取り組めるよう、「農業者の所得増大」「農業生産の拡大」「地域の活性化」「持続可能な経営基盤の確立・強化」「組合員の「アクティブ・メンバーシップ」の確立」の5つの柱のもと、今後も不断の自己改革に取り組んでまいります。

 今年の干支は「癸卯(みずのと・う)※うさぎどし」であります。「癸卯(みずのとう)」は、これまでの努力が実を結び、勢いよく成長し飛躍するような年になると言われております。2023年、皆さまのこれまでの努力が実を結び、飛躍を遂げる年となることを祈念いたします。

 最後になりますが、本年が大分県農業とJAグループ大分にとって、素晴らしい年となりますようご祈念申し上げ、年頭のあいさつといたします。